夢の中では、言葉が自分の外にある、ということを経験している。
ふだんは言葉というものは自分の内側にあるような気がしているが、夢を見ている私にとっては、環境、他人、出来事がすべて言葉でできている。つまり言葉が私の外側にある。
小説を書いていてそれに近い状態をつくるには、私(語り手や視点人物)にとっての他者、つまりあきらかに私の外にいるような異質な存在を登場人物として私の目の前に置き、かれの口にする言葉に「私の外にある言葉」として触れ続けるような緊張関係を生きることだと思う。人物でなくともいいのだが、人物だとわかりやすい。私が人物であるから、その関係が意識しやすいので。