瓜二つ、と書いて思い出したというわけでもないが、以前から「分身」のモチーフで何か書きたいという気持ちがありつつ超短篇や短歌以外ではたぶん扱ったことがない。それはやはり何となく取り扱いが難しそうな予感がするから手を出してないのだと思う。
ディック的なガジェット化を避けて分身を書くとなると、リアリズムに踏ん張って「私」を書くこと・書かれることの切れ目が書きながら見えてくるのを待つ、というような、自分の苦手な方向が予感されてしまうということかもしれない。結局それは私の力量では力つきたように急速にガジェット化して、目もあてられないような「途中からディック(風)になりました」という失敗におちいることが目に見えているということではないか。ちょっと我ながら可能性を狭くとりすぎている感じはするが。