2008-01-01から1年間の記事一覧

幽霊の怖さと、生身の人間の怖さは同じものではない。だが両者はまるで無関係でもない。 幽霊の怖さには生身の人間の怖さが含まれている。言い換えれば、人間が他の人間を怖れる、不安に感じるという前提なしには幽霊の怖さは成立しないだろう。 この場合の…

小説はノロさとニブさによって支えられるものだと思う。中途半端に聡明な書き手はかわりに物語で小説を支えようとするが、極端に聡明すぎると考えが小説の中にとどまっていることができず、そういう人は端から小説を書かない。小説を書くことは読むことほど…

粘着する人というのは、粘着する対象にかつて傷つけられた経験をもっている。傷口に絆創膏を貼るように悪罵の言葉を書き付け、毎日絆創膏を取り替えるように粘着行為を続けるのである。 それはAという人に傷つけられたからAへの粘着というかたちを取るが、…

姜竣『紙芝居と〈不気味なもの〉たちの近代』読み始める。たいへんおもしろい。幽8号のインタビューがおもしろかった(刺激的)ので借りてきたんだけど、私はこの本の題名にも入ってるフロイトの「不気味なもの」という論文をいまだ読んだことないのに、過…

唐突に通し番号廃止。 とともに、意識を流し気味にだらだら書くのであります。 私は好きな作家というのはほとんどが「声」の好きな作家であることに、最近気づいた。この「声」とは文章から感じられる声質で、たとえばいい歌だなと思っても歌手の声が好きじ…

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正月。実家には老いた両親と甥と姪がいた。そして老いた犬も。犬は寝たきりなので、老いた両親に介護されていた。老犬は何かと鳴いて人を呼ぶ。用がなくても呼ぶ。撫でると大人しくなる。撫でるのをやめると鳴く。犬のむごいところは寂しがるところだ。猫な…