書くことでそこから遠ざかるための始点として、でもぜったい自分が引力から逃れられないものを象徴的にタイトルにつけるといいような気がした。
タイトルにつけることでどこを書いていてもつねにそれが目に入るし、離れるための目印なのでタイトルやモチーフに拘泥して煮詰まる原因にはならない(予防になる)し、でもそもそもが逃れられない宿命的なもの(を選んである)だから作品すみずみまで離れようとすればするほど求心力としてはたらくはず。
夢=外傷系の小説に無職=宿命系の要素が混じるようなことだが、後者がふつう逸脱の前提とするテーマとかプロットよりもっと単なる「言葉」としてのタイトルだから本文との関係がもっとずっとシンプルで、本文の自由度は高く、ゆるくもできるので、うまくいけば構造として強いものになるんじゃないかと思う。
問題はタイトル単体の単純(なものにならざるをえないだろう)さに自分が耐えられるかどうかであるが。