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幽霊はいるとも言えるし、いないとも言える。つまりどちらとも言えない。なぜなら誰も幽霊を説明することはできないからだ。幽霊はつねに説明の外にいる(ように見える)。説明によって整理されていくこの世界の、整理の手から逃れ余った部分に名づけられる名前が幽霊である。どんな説明にも行き届かない部分は残る。したがって幽霊が存在する(ように見える)余地が消えることはない。もちろんこれも説明のひとつに過ぎない。