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人形が怖くなるのは心が弱っている時だろう。心が弱いと人形に「負ける」気がし始めるからだ。人形の安定感はわれわれのつねに上ったり下ったりする心が勝手に怖れるに十分なものだ。かたちが私によく似ていることが人形の、私に似ていない安定感を際立たせる。われわれは彼らに「取って代わられる」ことを恐れている。彼の不自由さが私と立場を入れ替えて自分を縛りつけることを想像する。いつ交替してもいいほど彼と私は似ている。