登場人物の台詞だけで一篇をつくってしまってあとからそれを読み返して受ける刺激で地の文を挿んでいく、という小説の書き方ができるような気がしてならない。
だが台詞書きの段階では台詞だけでストーリーを運ぼうとしてしまうので、あとから地の文を挟む余地の少ない台詞で完結したものになる可能性が高いので、そうならないよう気をつけることが条件だ。小説や映画やマンガなどからランダムにひろってきた台詞をならべるのがいいかもしれない。


追記
と思ったが、やはりそれではだめなような気がしてならない。
私の脳を通過せずに(台詞収集マシーンのようなものを図書館に放って)できあがったランダム台詞集と脳が出会う、というのでないかぎり、それぞれの台詞の元いた文脈を無視して拾い集めることは不可能である。本の表紙を見ただけでそこに収まっている文字列にはすべて出自のわかる色がついてしまう。ので脳は新鮮な台詞集といきなり出会えなかろう。
だからやはり自前の言葉で台詞集はつくるべきである。ストーリーを語るという意識を頭から排除して、詩のようなものを語るようにセットした頭で台詞だけをずらずらと並べていく。
そこにどこかから拾った台詞をランダムにまぜるのはかまわないから。